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コラム
2016/11/11

整形外科の歴史と慢性痛・前編 ~整形外科の誕生と発展~

運動器の慢性痛(腰痛や肩こりなどに対する初期医療は、欧米ではプライマリケア医が担っています。いわゆる家庭医」が初診を担当し、投薬その他の保存療法で様子を見て、必要があれば手技療法整体やマッサージなど)の治療家を紹介し、手術適応と考えられる症例には整形外科を紹介するといった流れになっています。

 

では日本はというと、整形外科が初期医療から手術までを一貫して診ています。ですが、実はここにある問題が隠れているのです

整形外科医はあくまで手術が専門の「外科のスペシャリスト」です。大学の医局で学ぶほとんどの対象は「手術」であり、保存療法については関連書籍を読む程度で、本格的に学べる医局は極めて少ないのが現状です。

要するに、整形外科医の多くは手術のプロであって、保存療法のプロではないわけです。

 

ところが開業すると、そこに来る患者さんの99%は保存療法が対象の人たちです。そのため整形外科医は、開業してから初めて臨床経験のほとんどないまま保存療法を実践し始めるということになります。

要するに日本では、「手術のプロ」が開業してから「保存療法のプロ」を目指すという構図になっているわけです。

 

欧米では冒頭でお話ししたように、多くの場合プライマリケア医が最初に診察したうえで、そこから必要に応じて専門機関に振り分けるシステムがあるので、それぞれのプロがそれぞれの状況に見合った形で患者さんを診る流れができているわけです。

そのため、日本でも整形内科医(保存療法のスペシャリスト)やプライマリケア医を増やしていこうとする動きがあります。

 

このように、グローバルな視点で日本の整形外科を見てみると、その特殊性がよく分かると思います。患者さんを一つの診療科で診ていく体制は、ある意味で優れた診療体制です。

しかし、保存療法がメインとなる慢性痛腰痛や肩こりなど)に限って言えば、手術の専門家が終始一貫して診ていく体制は、はっきり言って十分に機能しているとはお世辞にも言えません。

 

ただし、慢性痛におけるより根本的な問題は、今お話しした診療体制の問題とは別次元のところにあります。これについては整形外科の歴史を遡って考える必要があります

 

中世ヨーロッパでは、脊椎カリエス、くる病、ケガなどによって肢体不自由となった子供たちの社会生活への復帰が問題となっていました。そうした状況に一人のフランス人医師が立ち上がります。1741年、Nicolas Andryという内科・小児科医が「L’Orthpedie」という本を書いたのです。Orthは「正しくまっすぐ」、pedieは「子供」という意味です。

この本は子供の骨格の変形を予防し、かつ矯正する方法について書かれています。この医学書こそが「整形外科」のはじまりだといわれています。

 

日本では1906年(明治39年)、東京帝国大学の田代義徳教授がOrthopedieを訳す時に「整形外科」という言葉を作り、現在に至っています。

つまり、「整形外科」は造語なのです。

 

このように子供の骨格異常を正すことから生まれた整形外科は、その後大きく成長し、はるかに多くの問題を扱うようになりました。現在では小児から大人に至るまで、人体の運動機能のほとんどを診るようになり、その範囲はほぼ全身におよびます。そしてその中心に脈々と受け継がれているものは、

 

『目に見える形態の異常を本来あるべき姿にもどす』

 

ということです。先天性の骨格異常があれば、矯正装具あるいは手術で正常な形にもどす。骨折に対しては整復し元どおりの形にもどす。腱や靭帯の断裂があれば縫合して元にもどす。

こうした「もどす」という作業には、

 

『組織の修復をもって人体の機能を回復させる』

 

という意味があります。

 

また、整形外科は20世紀に起きた2度にわたる世界大戦によって飛躍的な発展を遂げたと言われています。兵士らが負った悲惨なケガ(骨折、銃創、腕や脚の切断など)や感染症に対応する中で、さまざまな知恵と技術が生まれました。こうした経験が近代整形外科の礎になっているのです。

 

本においても、戦前戦後の整形外科では小児の骨格異常の他は骨折や脱臼といったケガの治療をメインに行っていました。つまり「痛み」という観点から言えば、慢性痛よりもケガに伴う急性痛を診る機会の方がはるかに多かったのです。

そのため当時は慢性痛の研究者など存在せず、さらに言うならば研究どころか、そもそも慢性痛という概念すらなかったのです。

 

それでは慢性痛という概念は、いつ頃どのようにして生まれたのでしょうか?実は意外にも最近のことであり、しかもこれを見出したのは整形外科ではなかったのです。

 

後編へ続く...お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

※このコラムはBFI研究会代表・三上先生の書かれたブログ記事を編集したものになります。

 

 

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