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2017/01/31

痛みと交絡因子・前編 ~科学の限界~

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

痛みという感覚は、最終的に脳で作られます。
外傷であれば、障害をキャッチしたセンサー(侵害受容器等)が信号を送り出し、これを受信した脳が信号の中身を解析することで痛みを感じます。

 

この時の脳内における情報解析のメカニズム…、この詳細については実はよく分かっておりません。
痛みのみならず、人間が感じる様々な感覚異常(しびれ、凝り、耳鳴り、めまい、冷え、のぼせ等)においても同様です。

 

そもそもの話、五感における情報処理システムの多くが未解明であり、その象徴的な存在として“脳内補完(※)”があります。
(※)脳内補完…過去の経験や記憶を基に予測制御的に情報を補完する機能-本来ないものを脳が勝手に創り出す働き-。

たとえば、人間の視野の両端は本来カラーではない(色を感じることができない)が、脳は勝手に色を付け足してカラー映像に変えている。

その仕組みは不明。

 

「痛みの生成メカニズムが不明である」という科学の前提のみならず、痛みを客観化、数値化、可視化することができないという科学の壁-血圧計や体温計はあっても“疼痛計”は存在しないという現実-も、ほとんどの世人にとってあまり意味を持ちません。
分厚い壁を覆い尽くす巨大な垂れ幕-“静止画像による診断哲学”-があるからです。

 

20世紀の医療を席巻した静止画像は、しかし21世紀に入る直前 EBM(※)によって外傷以外の痛みの診断においては確度が高くないことが判明しました(たとえば脊椎の変性所見は無症状のグループと痛みのあるグループで同頻度に見つかる)。
(※)EBM…科学的根拠に基づく医療(詳しくはこちら)

 

つまり、静止画像の所見と痛みの関係は“確度100%”ではないということです。
比例すらしません。

 

たとえば、椎間板ヘルニアにおいてはMRI画像上のヘルニアの大きさと痛みは比例しませんし、脊柱管狭窄症における狭窄レベルと痛みも同様です。
さらに、MRI画像に写し出される“神経の圧迫所見”と実際の“神経変性レベル”も決して比例しません。

 

静止画像における診断は“形態学上の診断”と“痛みの原因診断”を混同させると同時に「形を元に戻すと痛みが消える」という分かりやすいロジックを生み出してきました。
『変形性膝関節症に対するプラセボ手術-「すり減った軟骨を取り除く」と説明した上で行われる全身麻酔下の皮膚切開と縫合のみという偽手術-の成績と本物の手術成績を比較したところ、なんと結果は同じだった(米国・ベイラー大学)』という実験報告は、当然公表されることなく…。

 

現在“常識”とされている“科学の前提”を、今一度、確認すべき時がきたのではないでしょうか。

 

さらに医療の本質を科学の眼で精査した時に、避けては通れない問題「交絡因子」
これはある事象間に存在する重複因子で、物事の因果関係を証明する際の障壁となっているものです。

 

 

たとえば膵臓癌における大規模な疫学調査を行った時に、その原因としてコーヒーがもっとも危険とされたことがありました。
しかし後に精査し直したところ、実はコーヒーではなく喫煙だったことが判明したのです。
これはコーヒー愛飲者は同時に愛煙家でもある確率が高かったために起こった解析ミスでした。
このときの珈琲と喫煙の関係が交絡因子にあたります。

 

 

実は医療行為のあらゆる場面に交絡因子が潜んでいます。
ある刺激を与えたときに生体がどのように反応して、どのような結果がもたらされるのか、それらの因果関係を証明するためには交絡因子をすべて排除しなければなりません。

 

たとえば「痛み止めの注射をして痛みが和らいだ」という現象。
このとき、鎮痛剤が生体内に暴露した際に想定され得る交絡因子は?
薬剤には純粋な薬理成分を生成させる過程で複数の化学溶剤が使われる場合があり、生物原料のほか製材添加物(等張化剤、pH 調節剤など)も含まれます。
交絡因子を排除するためには、それら一つ一つにおける生体反応を精査する必要が…。

 

また薬剤に暴露する組織は相当数あって、化学物質に対する生体の反応も個体差が激しく、組織間における吸収速度の違い、肝臓代謝、排泄代謝など考慮しなければならない因子は莫大な数に上ります。
こうした反応系のすべてを完璧に調べ上げることは現実には不可能です。

 

さらに言えば、薬剤に暴露する以前、注射針が皮膚を貫通した時点で既に交絡因子が介在し得ます。
なぜなら「痛み止めです」と説明した患者さんに、単なる生理食塩水を注射しても痛みが消えてしまうという現象-プラセボ効果(※)-があるからです。
(※)プラセボ効果…偽薬、偽注射、偽手術等によって症状が改善されてしまう現象。
患者さんの期待値や思い込みが強いほど発現率が高くなる。

 

 

したがって生体反応のあらゆる可能性を考えたとき、下行性疼痛抑制機構であれば、視床下部、中脳灰白質、延髄腹側網様体、脊髄後角のそれぞれにあるセロトニン系、あるいは中脳、橋、延髄、脊髄前側索、脊髄後角のそれぞれにあるノルアドレナリン系がどのような反応を示すのか?
これ以外にも、たとえば視床レベルでの上行性疼痛抑制機構は?

ストレス鎮痛(SIA)系は?
GABAやグリシンなどの抑制性伝達物質の反応は?
扁桃体や側座核の反応は?
オピオイドおよび内因性オピオイドペプチドの生理活性は?
等々…、こうした様々な因子とそれらに内包される無数の化学反応が捜査線上に浮かぶことになります。

 

このように、“針の侵入”という一見単純な機械的刺激に対しても、様々に発動し得るシステムが生体には複数潜在しており、これらが結果的に“患者さんの訴え”にどのような影響を与えるのかといったことも交絡因子になり得るのです。
“痛み止めの注射”というありふれた医療行為においてさえ、最終的に何がどこにどのように作用した結果、どのような化学反応があって痛みが消えるのか、そもそも未解明の脳内メカニズムに対してどう説明し得るのか、そこには厳然たる科学の限界があるわけです。

 

 

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続きは次回...お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

※このブログはBFI研究会代表・三上先生の書かれたブログ記事を編集したものになります。

 

 

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2017/01/27

椎間板の変性≠痛み ~医学界が無視する不都合な事実~

みなさん、こんばんは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

現代医学は、腰痛における“椎間板原因説”を金科玉条のごとき主張し続けています。
椎間板の変性は加齢によって現出する人類の宿命であるため、腰痛も当然避けられない“運命”にあると言わんばかりです。

 

かくして医学の権威らが発信する情報は診察現場とマスコミの両者を経由して無垢なる世人を洗脳し、今や“神経痛”と“椎間板”という概念は両方セットになって人々の脳に深くすり込まれています。

 

しかし20世紀も終わりにさしかかった頃すなわち1990年代、EBMの登場によって“椎間板原因説”は陰りを見せ、その色は黒からグレーに既に変わっています。
正常人のMRI画像を解析した結果、“無症状の椎間板の変性”が多数存在することが分かったからです。

 

もっとも、椎間板はグレーどころか完全に“白”です。

 

現代医学は画像検査によって「椎間板が潰れている状態」を見つけると、“腰椎椎間板症(椎間板の変性が痛みの原因だとする病名)”と診断しておきながら、その実、椎間板そのものを治療するわけではありません。
椎間板の変性は組織の老化現象と考えられていますので、時計の針を元に戻さない限り、それを回復させる手立てはないからです。

 

椎間板の変性が原因と説明しておきながら、椎間板の変性そのものには何のアプローチもせず、ほとんどのケースで椎間板とは無縁の対症療法を行います(牽引療法には椎間腔の拡大のほか椎間板内圧を少しでも下げようとする意図がありますが、実際には内圧を下げるというよりも筋へのマッサージ効果くらいしか認められず、EBMでもその効果は立証されていません)。

 

椎間板性の腰痛と診断されておきながら、その原因を放置される人々はその後どうなるのでしょう?

 

原因を治さない限り完治するはずがないわけですが、病院の対症療法にせよ、補完代替医療にせよ、保存療法によって痛みがなくなってしまうケースが厳然として存在します。
椎間板に直接手を下すまでもなく、現実には良くなってしまうということは、そもそも椎間板が原因でなかったという結論に至るのは子供でも分かる理屈です。
保存療法においては、いかなる手段であろうとも椎間板の変性を元に戻す-時計の針を戻す-ことは絶対に不可能なわけで…。

 

もとより侵害受容器(障害センサー)は椎間板と軟骨には見つかっておらず、痛みの発生源になり得ないという基礎医学上の前提があります(組織学的にそうした受容器が今後見つかれば話は別ですが、今のところまだ見つかっておりません)。

 

現代医学はEBMによって“無症状の椎間板の変性”という事実を突きつけられると、「変性そのものは痛みをおこさないが、椎間板が変性することで周囲の組織に負担がかかり、その軋轢のなかで痛みをおこしてくる」と表現を微妙に変えました。
侵害受容器は椎間板内には存在しないわけですから、侵害受容器のある組織にターゲットを変えたということです。

組織学的に侵害受容器の存在が証明されている後縦靭帯、前縦靭帯、椎間関節などへの負担が痛みを引きおこすと言い換えたわけです。

 

しかし、侵害受容ニューロンの主任務はあくまでも障害の局在を脳に知らせて回避行動を促すことにあります。
その局在を知らせる機能は明確なものではありません(脳は発生現場を詳細に特定できない)

 

したがって侵害受容ニューロンが反応しても、動的時間軸で考えれば神経痛と同じくその現象は一瞬、一過性のもの(震源地を特定できない地震速報)であり、同時に下行性疼痛抑制機構が働くことで、脳が痛覚として受信する機会は極めて少ないと考えます。
ごく短時間の現象として侵害受容ニューロンからの痛みを感じる局面があったとしても、臨床で問題となることの多い慢性痛の原因となるケースはほとんどないと思われます。

 

だいたいにおいて、もしこのニューロンが侵害情報をいちいち脳へ送信し続けたら、椎間板の性質と機能を鑑みれば人間はしょっちゅう痛みを感じるような事態に陥るはずです。
そんなナンセンスなシステムを神様(あるいは村上和雄氏の言うところのサムシンググレート)は作らないでしょう。

 

医学の権威たちは、なぜ臨床の現実よりも、動物実験の結果や解剖学的な形態観察を優先させるのでしょうか?

 

椎間板に関連する組織に侵害受容器があろうとなかろうと、考えるべき対象はあくまでも“患者さん”でなければなりません。
それが医療の本質のはずです。
医学的にどのような知見が報告されようと、それが現実の臨床と合致しなければ、ただの参考情報に過ぎません。
医療のゴールは論文の作成や評価ではなく“患者さんの快復”であるべきです。

 

現代医学がどんなに椎間板説を掲げようとも、実際には椎間板自体への非介入(保存療法)によって、即効的に症状が回復し、あるいはその場で消失するという現象を無視すべきではありません。

“無症状の椎間板の変性”が大多数に見られる-ボルボ賞を受賞したNorbert Boos博士の報告では正常人の実に85%に変性が見つかっている!-という事実を軽視することなく、むしろそれを重く受けとめさえすれば自ずと異なる論理展開になるはずなのですが…。

 

当たり前の論理が当たり前として通用しない背景には、もちろんそれなりの理由があります。
資本主義国家の医療は経済の歯車であり、医療費削減という建前の一方で、真逆(薬を売るため)の戦略潜行。
そして新しい医療技術、画期的な検査機器、そういうものが開発される先に控える莫大な市場。
たとえ医療と言えども、市場原理の支配下にある以上、企業の利益に繋がる医療こそが、テレビやマスコミを通じて一般大衆に浸透されるという、これまでの流れは今後も変わることはないと思います。

 

したがって、私が発信している情報と現代医学が発信する情報、企業にとってどちらが有益か一目瞭然です。

 

残念ながら、「痛みの発生現場は脳である!脳内の情報処理のエラーが痛みを引きおこす!痛みの原因はハードではなくソフトの問題である!」という考え、そして「体への柔らかな触覚刺激を介して脳に働きかけるという治療概念」は、今のままでは経済の歯車どころか、潤滑油にもなりません。
企業の利益どころか、雇用さえも生み出せません。
であれば、「ソフト論」が世の中の常識になることはまずないと言っていいと思います。

 

事実、「椎間板の再生医療」が現実味を帯びつつある-時計の針を戻すことが可能になった-今、整形外科学会のハード領域の逆襲がいずれ始まる可能性があります。

 

医学界は2012年12月に「心理社会的因子による腰痛(ストレス由来の腰痛)が大半を占める」というソフト論寄りの診療ガイドラインを発表しましたが、今後IPS細胞の研究が進み、椎間板再生医療がルーチンに行える世の中になったら、医学界は先のガイドラインを反故にするかもしれません。
それほどに「椎間板再生」という筋書きには一般大衆を洗脳するには十分すぎるほどのインパクトがあり、なおかつその裏には莫大な収益、巨大な利権、そして何よりも整形外科としてのアイデンティティー-ハードの故障を修理する-を守ることに繋がる流れが…。
※⇒「椎間板再生医療の現実を促進」の記事

 

今後、医学界は痛みの真実(ソフト論)を重視する流れがこのまま続くのか、それとも椎間板再生を掲げてハード論に逆戻りし、再び世人を洗脳の渦に巻き込むのか…。
すべては市場原理にしたがって行き先が決まります。

 

もっとも、椎間板再生という殺し文句によるプラセボ効果が世界を席巻する-人類が痛みの真実(ソフト論)を封印し、見せかけの衣を着て満足する-ならば、それはそれで結果オーライと言えなくもありません。
要は痛みが消えればいいのですから。

であれば、より安全な方法がルーチンになる光の未来の方が、私個人的には良いと思っています。

 

「椎間板再生によるプラセボ効果」にせよ、「脳への直接的あるいは間接的な介入」にせよ、いずれにおいても最終的に脳の働きが変われば痛みは消えます。
とにかくより安全な医療が構築されるべきであり、現状においては、ブレイン・フィンガー・インターフェース(BFI) -脳へ働きかける技術-が、極めて安全な介入手段のひとつだと言えます。
指先で、微かに触れるだけなのですから…。

 

と、最後に宣伝をしたところで、今回は終わりにしたいと思います。

お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

※このブログはBFI研究会代表・三上先生の書かれたブログ記事を編集したものになります。

 

 

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2017/01/24

物理的な圧迫≠炎症、痛み、麻痺 ~椎間板ヘルニアの矛盾~

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

そもそも椎間板ヘルニアには解剖学的に大きな謎があります。
椎間板の目の前にある神経根は前根(運動神経)で、その向こう側に後根(感覚神経)という位置関係ですから、椎間板が膨瘤したり、髄核が飛び出れば、まっさきにぶつかるのは前根なのです。

 

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ですから、普通に考えればヘルニアで圧迫されるのは前根すなわち運動神経ですから、症状は筋力低下といった“運動麻痺”になるはずです。
前根には交感神経の遠心性線維も入っていますので、これが障害を受けると直腸膀胱傷害もおこり得ます。

 

しかし、現実には「麻痺などの症状が一切なく痛みを訴える」ヘルニア症例が大多数を占めます。
痛みだけが発生するヘルニアというのは、人体の構造と明らかに矛盾する現象なのです。

 

なぜ前根の後ろに隠れている後根が圧迫されるのか?と研究者に尋ねると、「機械的な刺激に対する感受性が前根は鈍く、神経節(DRG)のある後根は鋭敏だから」と答えます。

 

しかし、前根が相当に押し潰された状態にならないと、その後方にひかえる後根まで圧迫力が伝わるはずがありません。

ヘルニアの全症例に明らかな運動麻痺がなくてはおかしいわけです。
それを“感受性”の問題として片づけてしまうのはかなり無理があると言わざるを得ません。

 

さらに、もうひとつ重大な事実があります。
『神経根は硬膜・クモ膜・軟膜の三重の膜によって保護されており、さらにくも膜下腔を満たす脳脊髄液-液性クッションによる保護作用および栄養供給を担う無色透明の液体-によって守られている』
ということです。

 

脳脊髄液の主な任務は中枢神経を守ることだと考えられていますが、例外的に末梢神経の一部も保護されています。
そのなかのひとつが“神経根”であり、視神経などもこれに含まれます。
おそらく人体にとって“不可侵”の存在-重要な神経-はより厳重に守られるようになっているのでしょう…。

 

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こうした神経根の解剖学的特徴を象徴する事実関係があります。

神経根レベルの障害においては知覚だけの麻痺をおこしてくるものはほとんどないという事実です。

“知覚鈍麻”や“錯感覚”はありますが、“知覚脱失(触覚、圧覚、痛覚などの完全な消失)”のみというケースはほとんどありません。
当然です。

上図のように、後根(感覚神経)だけを圧迫することは物理的に不可能だからです。
※知覚鈍麻…触覚や痛覚などが鈍い状態。AKA-博田法やBFI によって回復することがあるため脱落症状とは言いきれない。
※錯感覚…虫が這うような、冷水に浸したようなといった知覚障害。これも上記と同じ理由で脱落症状とは言いきれない。

 

本物の知覚麻痺が現れるのは、脊柱管レベルで馬尾神経そのものが圧迫されたとき-馬尾症候群-だけです。
たとえばサドル麻痺(肛門会陰部の知覚消失)がこれに当たります。

 

前回のブログでご説明しましたが、「髄核そのものには物理的な圧迫力は存在しない」と思われます。

神経根の障害によって麻痺をおこしているケースについては、髄核以外の要因(おそらくもっと硬質な組織による圧迫)を考えるべきです。

 

その場合の麻痺は上図からも明らかなように、圧迫の標的になるのは前根です。

つまり、その中に入っている運動神経と遠心性の交感神経が障害された結果、運動麻痺あるいは直腸膀胱傷害といった形で現れます。
このような物理的な原因による麻痺に対しては、早期の手術で解決する場合が多いと思われます。

 

一方、物理的な圧迫とは別次元の要因-おそらく化学的な因子-によって神経根自体に炎症が発生した場合、前根と後根の両者に炎症が波及し、後根神経節のある後根側により甚大な影響が現れます。
研究者が言うところの“後根神経節の感受性亢進”というのは最初に化学的な刺激があって、その結果として機械的な刺激に敏感になるのではないでしょうか。

 

神経根の解剖学的な状況を考えれば、後根や後根神経節に機械的な刺激が直接加わる事態は想定しにくいので、後根神経節が敏感な状態に変質する理由については化学的な要因を考えるほうがより現実的です。
化学的な因子によって神経が変性すると、その結果として物理的な圧迫をはじめとする機械的な刺激に敏感になってしまうため、本来は許容範囲内であるはずの刺激が異常事態になり得るというのが、話としては自然な筋道ではないでしょうか。

 

このように考えてはじめて、ハネムーン麻痺や遅発性尺骨神経麻痺などの“化学因子不在のケース”における「無痛性かつ無炎症性の麻痺」との整合性が得られます。

それに対して「物理的な圧迫が炎症を引きおこす」という短絡的な論理には、現象-圧迫があっても炎症をおこさない例-を説明するための障壁が残されており、いまだにそれがクリアにされていない以上そこに合理性は認められません。

 

したがって「神経根の炎症は化学的な因子が原因であって、物理的な圧迫によって発生することはない」と言えるのではないでしょうか。

 

神経因痛疼痛の臨床で問題になることが多い疾患-たとえばギラン・バレー症候群、帯状疱疹後神経痛など-は物理的な原因ではなく、化学的要因(免疫代謝系の問題)によって引きおこされます。
神経が炎症をおこすという現象は化学的因子を第一に考えるべきなのです。
三叉神経痛においても、蛇行した動脈による接触(これからは“圧迫”ではなく“接触病変”と言い改めるべき!)という物理的な刺激を考える前に、化学的な因子に目を向けたほうがその病態が分かりやすくなるはずです。

 

神経根の炎症においては免疫代謝システムが正常に働けば、多くは自然治癒します。
しかし不幸にしてRSDが発生すると、神経の委縮を招いて麻痺をおこし、しかもこの場合の神経の変性は回復しにくいということが言えるのです。

 

 

真の神経痛(異所性発火による痛み)は一瞬発作性の現象ですので、ヘルニア症例において慢性痛が前景に立てば、それはまったく別次元の生理現象になります。
だからこそ形の変化を見るだけの画像診断-静止画像による静的時間軸での診断-では痛みの原因が分からないのです。

 

「単純な圧迫で痛みは発生しない」「単純な圧迫で神経の炎症はおこらない」

 

ただ、それ以前の前提として髄核の物理的エネルギーは取るに足らないものであり、そもそも圧迫という問題が存在するケースはヘルニア全体のなかで極めて少数であり、もし本当に圧迫があればその症状は痛みではなく麻痺であるということ、これが椎間板ヘルニアの鉄則になります。

 

 

お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

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2017/01/23

神経vs椎間板 ~髄核脱出=神経の圧迫は起きるのか?~

みなさん、おはようございます!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

椎間板ヘルニアに対しては、 『神経が圧迫されることで痛みが出る』 と説明されることが多いと思いますが、これまで再三にわたって申し上げてきた通り、「神経の圧迫だけ」では痛みという感覚にはなりません。
このことは、ヘルニアの臨床実験でも証明されています。

 

ヘルニア手術の際、圧迫を受けていない正常な神経の直下にバルーンを仕込んでおいて、麻酔から覚めたあとにその風船を膨らませるという実験をすると、患者さんは重だるいしびれ感を訴えるだけで痛みは感じません。

 

また、圧迫と麻痺の関係も従来考えられているほど軽易でないことが分かっています。
圧迫の程度と症状が必ずしも相関しない症例があるからです。
これは物理的な圧迫レベルだけが神経の変性を決めているわけではないということを意味します。

 

ヘルニアにおいてはその場所や大きさよりも、「神経がどうなっているのか」を考えることのほうがはるかに重要な問題です。
『神経に何らかの化学反応が生じて、そこに炎症が発生したあと、その炎症の回復過程において、交感神経の問題が合併すると、そこではじめて神経の変性が生じてくる』 という病態があるのではないでしょうか。

 

椎間板ヘルニアはその形状から2種類に大別されます。
椎間板そのものが膨らんでいるタイプと、椎間板の隙間から髄核が漏れ出したタイプです。
ここではとくに後者について考えてみたいと思います。

 

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ヘルニアの主である髄核は、70~90%が水分という半透明のゲル状物質です。
要は水分が多すぎて失敗したほとんど液状のゼリーかパンナコッタのようなものです。
場合によっては“くず湯”といってもいいくらいです。

 

これが椎間板-らせん状に密に配列した線維組織-の隙間から漏れ出している様を指して、現代医学は“ヘルニア”と呼んでいます。

 

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しかし、ここで想像してみて下さい。
神経が硬い骨によって“圧迫”されているのであれば分かりますが、液状のパンナコッタがどんなにたくさん漏れ出てこようと、神経を麻痺させるほどの強大な圧力がかかるでしょうか。
椎間板が真っ二つに割れて、そこから髄核本体がドーン!と丸ごと飛び出しているというわけではないのです。

 

稀にこれに近いタイプのヘルニアもありますがその頻度は微々たるものであり、こうした事態を未然に防ぐことこそがヘルニアの存在理由なのです。

 

正座をすると神経が圧迫されてしびれることがありますが、麻痺が進行して歩行不能になり、そのまま病院に運ばれる人はいません。
ひざの神経に上半身の体重-液状のパンナコッタの何百倍もの力-が加わっても、麻痺はおきないわけです。
正座で麻痺がおこるなら僧侶や棋士は全員病院送りになっています…。

 

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ひざの神経もヘルニアでの被神経も、同じ“末梢神経”です。
鋭角に折れ曲がった状態で、しかも数十キロの力が加わり続けるという過酷な圧迫にも耐える神経が、”たかが”椎間板の隙間から漏れ出した半液状の流動物質に押された程度で麻痺を起こすでしょうか(神経幹の太さや被膜の違いを差し引いても、です)。

 

ですから、なぜ圧迫という言葉が使われているのかが、そもそも不思議でならないわけです。
“接触”あるいは“接触病変による神経の変性”という表現ならまだしも…。

 

これは想像になってしまいますが、研究者たちにとって予算(研究費)を取り付けることは死活問題ですから、研究対象が「可視化されて誰の目にも判然としている」ほうがいいわけです。
とくにアメリカではその傾向が顕著だと言えます。

 

椎間板ヘルニアが発見された1930年代、すでにレントゲンはありましたがMRIやCTなどはありません。
リアルな画像写真がない時代、居並ぶ学者たちを前にして研究費が下りるかどうかを決めるプレゼンをするとき、“接触”と表現するのと、“圧迫”と表現するのでは、受け取る側の印象はどうでしょう?

 

当然、圧迫と説明された方が断然インパクトがあります。
「なるほど、これが神経を傷めつけているのか」と思わず納得してしまうでしょう。
しかもその事実が“世紀の発見”ということになれば、いかに怜悧明達の学者たちといえども…。

 

そして現代、MRIには神経が見事にへこんでいる様が映し出されます。
しかし、これはあくまでも画像上のトリックです。
『生体の水分や脂肪分に含まれるH原子が帯びている微小な磁化を画像化する』
というMRIの性格上、常に映像精度の問題が横たわっており、MRI写真は決して実映像ではないということを忘れてはなりません。

 

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加えて、2次元画像の限界-横から見れば圧迫されているように見えても、真上から見れば圧迫されていない。あるいは真上から見れば圧迫されているように見えても、斜めから見れば圧迫されていないなど-、さらに医師による診たての相違-MRI写真の病変を読み解く力には個人差がある-といった問題もあります。

 

神経根造影検査で圧迫はないと判明している症例のうち、約半数がMRIで圧迫があると判断されてしまうという事実も、MRIが過剰診断になっていることの証だと言えます。

 

ブログ「椎間板ヘルニアは本当に痛みやしびれの原因なのか? ~画像診断の矛盾~」で申し上げたとおり、正常人の7割以上にMRI上のヘルニアが見つかるという現実にあって、シャーカステンに並べられた、あの“へこみ画像”にどれだけの意味があるというのでしょう。

 

1930年代にヘルニア手術の原型が確立し、やがて画像検査技術の発達とともにヘルニア研究には莫大な予算がつくようになりました。
しかし、その一方で、“へこみ画像”を見せつけられた患者さんたちがどれほど不安な気持ちにさせられてきたことか…。
MRI写真上の神経だけでなく、気持ちまでも“へこまされ”…。

 

はっきり申し上げて、椎間板がパンクして髄核本体が丸ごと飛び出すような超レアなケースを除き、髄核には麻痺をおこさせるほどの物理的な圧迫力はないと思います
だからこそ無症状のヘルニアがたくさん存在しているのです。
もし本当に髄核に圧迫力があるなら、だいたいにおいて無症状のヘルニア(=MRIヘルニア)というものが存在するはずがありません。

 

とりもなおさず髄核は固体ではなく、あくまでも半液状の流動物質です。
物質自体の強度を測定する実験を行えば、自ずと答えが出るはずです。

 

神経とパンナコッタ、どちらが物質的に強いでしょうか?
もっとも、実験するまでもないでしょう。ふつうに考えれば分かることです。

 

もし神経がパンナコッタより弱い強度の構造物だったら、全力疾走した時点で人間は即“全身麻痺”です…。

 

真面目な話、一般にニューロンは30mmHg以上の圧で圧迫されると軸策流が停止すると言われています。
1mmHgとは500円玉を皮膚に乗せた時に感じる圧迫感と説明されます。
よって30mmHgとは「500円玉を30枚!」重ねて乗せた際の圧迫力ということになります。
どうですか?これでお分かりいただけたでしょう。
どう考えてもそんな圧迫力をパンナコッタが生み出せるはずがないではありませんか!

 

 

お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

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2017/01/21

【慢性痛”神経痛”を斬る!】神経の変性≠痛み⑥ ~”神経痛”という概念を見直そう!~

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

末梢神経自身が変性(炎症)下にあるとき、最優先されるものは自らの修復作業です。
機能を回復させることこそが最優先事項なのです。

 

狭いトンネル(神経)内の復旧工事にとって、一番厄介な状況は地震の発生(機械的な刺激)です。
通常の現場では震度4を超えてくると作業の妨げになってしまいます。

 

ただし、三叉神経痛のケースのように特殊な変性下にあるトンネルでは震度1~2程度の余震でも作業の中断を余儀なくされます。
そのため、大きな余震が発生すると自らのホットライン(緊急回線)を使用して脳に報告することで、「もう少し安静に願います」というサインを出すわけです。
あくまでも変性(炎症)の回復を阻害する異変を知らせることに意味があるのです。

 

通常レベルの余震であれば現場に混乱はおこらず、作業は粛々と進められていくだけですので、いちいち脳にクレームをつける必要などまったくありません。
変性下の神経にとって最優先されるべきことは自らの修復であって、脳にクレームをつけることではないのです。

 

「神経は変性して脱髄をおこすと自ら異所性発火をおこす」

 

という現代医学の主張に対しては、

 

「それはあくまでも実験モデルでの話であって、実際の臨床ではめったに遭遇するものではない。百歩譲って本当に異所性発火(スパイク放電)が発生したとしても、その100%が脳の痛み中枢に辿りつくという保証はないし、仮に到達したとしても現実の生体では痛覚として醸成されるとは限らない。
そもそもシナプスには活動電位をそのまま次のニューロンへ伝えるべきか否かを判別して、不要な信号を通さないという“関所”としての顔がある。
ニューロンの信号が痛み中枢に辿りつくまでには、数か所に設置してあるシナプスという関所を突破しなければならない。
現代医学が主張する異所性発火のすべてがこの関所を通過するとは限らない。
あくまでもその時々におかれた神経生理の許容範囲を超える衝撃(機械的な刺激)を受けた際の異所性発火だけが脳に痛覚をもたらす

 

という風に反論することができます。

 

現代医学は、人間の痛みを原因別に分類すると以下の通りだと言っています。

 

①侵害受容性疼痛
侵害受容ニューロンの末端センサーが感知した痛み
②神経障害性疼痛
a)末梢神経由来…末端センサーを介さずに神経コード本体から発せられる痛み。その典型例が異所性発火(神経痛)。
b)中枢神経由来
③心因性疼痛
精神的な原因という可能性も含め、現状の医学で説明し得る病変を見いだせない痛み。

 

①は脳に被害個所を知らせて回避行動をとらせるための痛みです。

 

②a)に関してはこれまで述べてきたとおり神経コード本体に被害個所を知らせる能力がないため、自らのホットライン(緊急回線)を使って信号を送ったところで、脳は被害の発生現場を特定することができません。
その意味はあくまでも地震速報であり、その症状は一瞬発作性の電激痛ということになります。
ですから、それ以外の多くの慢性痛まで神経痛だとする現代医学の見解に賛同することはできません。

 

②の臨床においてはb)は稀少例であり、a)が大多数を占めます。

さらにa)のうちの多くが慢性痛であり、その実際が神経痛でない以上、結果として②の痛みは希少例であると言うことができます。

 

 

であれば当然そこには「“坐骨神経痛”は幻の概念であり、慢性痛に対しての常套句-神経の圧迫で痛みが出る-も消えゆく定め」という解釈が含まれることになります。

 

臨床上“坐骨神経痛”と言われる症例のほとんどは慢性痛であり、三叉神経痛のごとき一瞬発作性の強烈なる電激痛を訴える例は稀です。

 

仮にもし三叉神経痛と同次元の異所性発火が坐骨神経におきたならば、人間は一歩たりとも動くことはできないと思います。
歩くどころかほとんどすべての動作に「脳天を突き抜けるような電激痛」を伴い、身体機能は間違いなく廃絶します。
これは本物の三叉神経痛を経験した方であれば、想像できると思います。
私は痛みの臨床現場に10年以上いますが、そんな症例に出遭ったことはありませんし、そういう事例があるという話も聞いたことがありません。

 

三叉神経痛ほどではないにせよ、臀部~下肢の発作性激痛を訴えるケースはもちろんあります。
しかし、それとて神経痛とは言えません。

そのほとんどがAKA-博田法、BFIの臨床において『神経因性疼痛ではない』ことが立証されているからです。

 

神経の圧迫が長時間にわたってゆっくりと進んだ場合、つまり徐々にトンネルが小さくなっていくと、やがて工事は中止に追い込まれます。

現場に大きな地震がなければ、神経は身の危険をを察知することなく-異所性発火をおこすことなく-変性が進行し、やがて麻痺となるのです。

したがってこの場合は痛みを一切引きおこすことなく、神経は静かに眠りにつくことになります。

ハネムーン麻痺もギプス固定中の麻痺も遅発性尺骨神経麻痺(骨折の変形治癒後の麻痺)も、その症状に痛みありません。

 

ただし例外があります。
それがCRPS(RSDやカウザルギーなど)と呼ばれる疾患群です。

CRPSという特殊な病態が発生しない限り、末梢神経の圧迫によって生じる伝導障害はあくまでも“麻痺”という症状がメインであり、“痛み”が前景に立つことはありません。

 

そのほかの絞扼性神経障害(神経の圧迫が原因でおこる疾患群)においても、麻痺以外の所見(痛みやしびれ)をすべて神経由来だと決めつけてはいけません。

典型的な絞扼性神経障害による痛みやしびれと診断されたもの-坐骨神経痛や胸郭出口症候群など-でも、AKA-博田法やBFI で消えるという事実があるからです。

私が“慢性神経痛”の存在を否定する源泉には「厳然たる臨床の現実」があるからにほかなりません。
これ以上の確信はありません。
実際におきている現象がすべてなのですから。

 

RSDやカウザルギーといった問題がなければ、神経障害の所見はあくまでも麻痺-脱落症状(知覚の脱失や固有筋の収縮ゼロ)-であって“痛み”ではありません。
もし痛みがあれば神経以外の要因(CRPSその他)を考えるべきです。

 

神経障害の臨床では以下のパターンの違いが最も重要だということです。
◆神経⇒長時間の圧迫⇒変性⇒麻痺
◆神経⇒変性⇒一瞬、発作性の電激痛(異所性発火による痛み)⇒持続性、慢性的な痛み(異所性発火とは別次元の痛み)
◆神経⇒変性⇒RSD⇒痛み(持続性)⇒《交感神経の機能不全による血流障害》⇒麻痺

 

つまり、『物理的な圧迫による麻痺には痛みは存在せず、RSDから生じている麻痺には痛みが絡んでくる』ということです。

 

今、本当に“神経痛”という概念そのものを根底から見直す時期に来ています。
EBMの誕生に象徴されるように、現代は医療の大転換期なのだということをどうかご理解いただきたいと思います。

 

 

お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

※このブログはBFI研究会代表・三上先生の書かれたブログ記事を編集したものになります。

 

 

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2017/01/20

【慢性痛”神経痛”を斬る!】神経の変性≠痛み⑤ ~脳の立場に立って考えてみると…?~

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

前回は、からだの中の炎症を見張る“サイレント受容器”にスポットを当て、その機能を切り口に異所性発火の問題を考えてみました。
今回は、信号の意味について受け取る側(脳)の視点で考えてみたいと思います。

 

侵害受容ニューロンの伝達速度(秒速30m)が速い理由は、損傷の発生を脳に瞬時に知らせることによって回避行動を促し、組織を守ることにあります。
手を切った瞬間に痛みを感じなければ意味がないわけです。

 

その他の感覚ニューロンも含め、感覚神経は脳が瞬時に認識しなければならない情報を伝えるホットライン(緊急回線)だと言えます。

炎症下の組織に加えられる機械的な刺激も、“損傷”に準じる危険情報であるため、サイレント受容器は緊急回線を使用します。

 

他方、単に炎症の存在を知らせる連絡に関してはのんびりとした液性伝達を採用しています。

 

侵害受容ニューロンによって届けられる信号は組織の損傷を知らせるサインですので、その痛みはシャープな性質をもっています。
そのため、「切った瞬間に手を離す」という瞬時の回避行動に直結するわけです。

 

それに対し炎症の存在を知らせるサイン(液性伝達による神経ホルモン)は、受け取る側にとって本来マイルドな信号です。
いわゆる電激痛や鋭利痛のような衝撃的な痛みとは違い、軽い鈍痛か違和感に近いものです。

 

このとき脳が正常な状態であれば、当然その違いを認識するわけですが、痛み中枢の活性化-レセプターの増殖や側座核の機能低下-がおきると、マイルドな信号に対しても激痛を覚えるようになります。
サイレント受容器が炎症の存在を送信する際わざわざ液性伝達を採用しているのは、伝達方式を変えることで情報の質の違いを脳に認識させるためです。

 

情報レベルは、その緊急性によって以下のように分けることができます。
●レベル1…組織の損傷
●レベル2…炎症下の組織に加えられる機械的な刺激
●レベル3…炎症の存在

 

レベル1は瞬時の回避行動を、レベル2は即時的な回避行動を、それぞれ脳に促すため緊急回線による伝達が行われます。
たとえばレベル2の分かりやすい例が、胃の内壁に炎症があるケースです。
食物による機械的な刺激が加わると、サイレント受容器が反応します。
食べることで痛みを感じるわけなので、当然その直後に食べるのを止めるという回避行動につながります。
足首を捻挫したあとに炎症が発生すれば、動き(機械的な刺激)によって痛みを感じますので、足首を曲げないようにしようとする回避行動が生まれます。
胃と足首、いずれのケースにおいても即時的な対応が組織防衛につながるわけです。

 

その一方でレベル3(炎症の存在)に対しては緊急、即時的な回避行動のとりようがないわけで、緊急回線を使う必然性がまったくありません。
胃の炎症に対して何か具体的な回避行動をとることで、その場で炎症が瞬時に消えるということはあり得ないことです。

 

そのため、サイレント受容器によって“のんびりとした液性伝達によるマイルドな信号”が届くことで、中長期的な対策が求められることになります。
つまり考える時間が与えられるのです。
体調の異変を察知することで、翌日の行動内容を変える-デパートに行くのを止める、旅行をキャンセルするなど-といった回避行動につながわるわけです。

 

このように、情報内容の緊急性によって信号の伝達スピードや伝達様式が異なる仕組みは、脳にとってたいへんありがたいシステムです。
膨大かつ多彩な情報を24時間受信し続ける脳にとって、「緊急の対応が迫られるもの」と「そうでないもの」が区別されて届く体制は、情報処理の効率化という点において非常に優れたシステムだと言えます。

 

これは私たちの現実社会とまったく同じです。
多忙を極めるビジネスの現場では即答が欲しい場面では電話を使い、緊急性のない用件にはメールを使うというのが常識です。
もしすべての案件を通話ですまそうとしたら、複雑化したグローバル社会のビジネスはその効率性を奪われて、大半の企業は立ちゆかなくなるでしょう。

 

人間の脳も800億からなる神経細胞による複雑なネットワークを形成しています。
情報処理の効率化こそが脳機能そのものだと言っても過言ではないくらいです。

 

したがって、正規の手続きを踏まずに届けられた情報に対しては、脳は恐ろしいほどの混乱を示します。
神経を直接ぶつけたときの信号(異所性発火)を受け取った際の反応がその最たる例で、脳は尋常でない感覚を生み出してしまうわけです。

 

ただし、なんといっても脳が一番混乱するのは、やはり緊急性のない情報が緊急回線を通して届けられてしまうケース-神経の炎症を知らせる異所性発火-でしょう。
回避行動のとりようのない情報が緊急回線によって届けられてしまうと、脳はどう対応していいのか分からず相当に混乱するはずです。

 

イメージしてみてください。

119番の通報を受けて、さあ出動だ!と消防署員がいっせいに立ち上がった刹那、実は電話の中身が署員の身内からのプライベートな連絡だった…としたら、どうでしょうか?
そういう連絡に119番を使うな!携帯にメールしろ!ということになりますよね。

 

同じ異所性発火でも、肘をぶつけた際のそれには「回線本体を襲った強い衝撃を知らせると同時に即時的な回避行動を要求する-2度と同じ場所をぶつけるな!-」というメッセージが含まれるため、緊急性のある情報と見なすことができます。

しかし、その一方で回線の炎症を知らせるために自ら異所性発火をおこし続け、脳に連絡し続ける“神経痛(神経の炎症を知らせる信号)”というのは、悪質クレーマー以外の何物でもありません。

 

本来液性伝達によって届けられるはず(脳に考える時間を与えてくれるはず)の、そういう性格の信号が緊急回線を通して幾度も幾度も連続して届けられるのです。
脳にとってこれほどの異常事態は他にないと言えます。

 

脳は1秒間に1000万ビットを超える情報を処理すると言われています。
そのように超多忙を極める脳が、正規の手順を踏まない形で届けられる極めて異質な情報(異所性発火による信号)を柔軟に受け入れ、なおかつそれを弾力的かつ継続的に解析し続ける余力が、果たしてあるでしょうか?

 

本来メールで受け取っていた連絡がすべて電話で届くようになったら、どうでしょうか?

電話回線はパンク寸前となり、社員はその対応に追われて本来の仕事がまったくできなくなり、ほとんどの企業はお手上げ状態になると思います。

 

もしもそうなってしまったとしたら、どうしますか?

必要ならば、会社の機能を守ることを最優先に、回線を切るという手段も考えられます。

 

では、それは脳も同じではないでしょうか?
ペンフィールドの身体図(一次体性感覚野)の立場に立って考えてみると、そんな信号の受信は断固拒否しても不思議ではないと思いませんか?

 

現実の電話回線の場合はモジュラージャックを抜けばすむ話ですが、もちろん脳はそうはいきません。
だからこそ、そもそも脳はそういったシステムは作らないのではないでしょうか?

 

 

お退屈様でした<m(__)m>

 

 

 

※このブログはBFI研究会代表・三上先生の書かれたブログ記事を編集したものになります。

 

 

 

 

 

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