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2016/12/23

整形外科の歴史と慢性痛・後編 ~慢性痛の発見と整形外科の苦難~

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます<m(__)m>

 

1960年代、麻酔科の一部の医師が「ペインクリニック」を開設、痛みの専門外来を作りました。

診療をしていく中で、いろいろな治療をしても消えない痛み、つまり慢性的に続く痛みを発見。

麻酔科医の医師たちは、この痛みを慢性疼痛」略して慢性痛と命名しました。

 

痛み研究の先駆者として名高いBonica博士は、その著書「Management of Pain」の中で、『慢性痛とは、疾患が通常治癒するのに必要な期間を越えているにもかかわらず訴え続けられる痛み』と述べています。

 

同じ頃、整形外科でも同様の痛み(慢性的に続く運動器の痛み)を認知し始めていました。

しかし、当時はケガの痛みも慢性的な痛みも、基本的には同じメカニズムのものであると認識されていました。

つまり、『ケガの痛みが何らかの原因で長く続いているのが慢性痛である』という考え方です。

 

ちなみに、私も専門学校ではそのように習いましたし、以前勤めていた整形外科でもそのように習いました(気が付くともう10年以上前...笑)。

 

通常は、ケガそのものの修復が完了すれば同時に痛みも消えます。

ケガの痛みは「生命維持への警告サイン」と言えますので、患部が癒えればそのサインを出す必要がなくなるからです。

 

ところが、ケガをした場所の修復作業が終わっているのに痛みだけが残っている。これが慢性痛だと考えられていました。

そのため、整形外科ではどのような痛みに対してもまず画像検査を行い、どこかに骨の損傷はないか、あるいは過去に傷ついた痕跡はないかと探します。

 

ところが、患者さん自身にケガをした覚えが全くない場合、「慢性痛はケガの延長線上にある」という考え方は通用しません。

転んでもいないし、ぶつけた覚えもないという患者さんに対して、「あなたが思い出せないだけで、本当はどこかで捻ったのではありませんか」というような論法では、とうてい無理があるわけです。

 

そこで登場したのが、いわゆる金属疲労ならぬ筋肉疲労」という考え方です。

使い過ぎ、動き過ぎ、働き過ぎが原因というわけです。

ところが、実際には肉体的な負担がない人たちにも痛みは生じます。

すると、今度は筋力低下」や「姿勢異常」という概念が登場しました。

 

その一方で、肉体的な要因をどうしても見出させない人々に関しては心の問題が指摘されるようになりました。

特に1990年代以降は肉体的な問題だけでは運動器の痛みを合理的に説明することは難しいとされ、心理社会的因子(社会生活を営む上で、個人が背負う様々なストレス要因)をより重視する声が高まりつつ、現在に至っています。

 

整形外科はその生い立ちや発展の歴史からも明らかなように、その治療目的は本来、「形の正常化」と「組織の修復」です。

特に1960年代以前、整形外科医が経験する痛みの多くは「組織の損傷を知らせる警告サイン」でした。

そのため痛みに対しては副産物に過ぎず、組織が修復されれば消える」という程度の認識しかなかったのです。

 

ところが、こうした警告サインとしての役割をもたない痛みである「慢性痛」発見されます。

20世紀後半における先進諸国の高度経済成長が続く中、運動器の慢性痛が爆発的に増えた結果、整形外科の苦難の歴史が始まることになります。

 

多くの慢性痛では、その理由となるべき患部の変化が見当たらない

痛みの原因として本来あるべき傷がないわけです。

基本的に「組織の損傷を修復することを生業としてきた整形外科」にとって、それは未知の痛みでした。

 

その中の最たるものが腰痛といえます。

いろいろなタイプの腰痛がある中で、「患部の変化が見当たらない腰痛」が一番多いからです。

治療する機会の多さを考えれば腰痛こそが整形外科医にとって最大の謎であり、「未知の痛み」だったと言えると思います。

 

しかも、患部の変化が見当たらない腰痛に対しては、その治療に情熱を傾ける医師が極めて少なかったのです。

臨床において大きなウェイトを占める腰痛に対して、整形外科医はなぜ熱くなれなかったのか?

 

整形外科の生い立ちを知っていただいたみなさんは、もうお分かりですよね?

「修復すべき傷が見当たらない」ということは、つまり治療すべき対象が見つからないということです。

極論を言えば、「本来あるべき傷」がない時点で整形外科の仕事ではないと言っても過言ではありません。

その一方で、「本来あるべき傷」が見つかった腰痛に対しては整形外科の腕の見せ所です。

思う存分、技術(手術)を発揮することができます。

 

ところが、この一番得意にしているはずの腰痛に対しても、悩ましい現実が待ち受けていました。

原因と考えられる形態異常や損傷を修復しても、痛みが消えない場合があったのです。

「本来あるべき傷」が見つかり、それを手術で治したにも関わらず痛みが残ってしまう、あるいは再発してしまう...こうなると、整形外科としてはもう完全にお手上げです。

訳が分からない...。

 

こうした整形外科の混乱は、実に1990年代の半ば頃まで続きました。

 

 

お後がよろしいようで...お退屈様でした<m(__)m>

 

 

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